新市場進出で市場調査・消費者調査が必要なとき、不要なときとは?

マーケティングリサーチ(市場調査、消費者調査)は、過去から現在にかけての国・地域のデータ、業界データ、顧客データ、消費者行動パターンなどを集めて分析し、将来の需要を推測する手法で、欧米の大学のマーケティングクラスでは、「答えが分からなければお客様に聞け。」と教えられるほど、重要な手法です。

台湾に商品を輸出したり会社を設立したりして販路拡大を目指すいくつかの企業は、進出や輸出を思い立ったらまずマーケティングリサーチ(市場調査、消費者調査)を検討します。たとえ日本で自社の商品が順調に売れていたとしても、市場が変われば結果は読めません。

また、最近では多くの台湾人観光客が日本に来ていることから、インバウンド対策としても、台湾人の市場や行動を知るべくマーケティングリサーチ(市場調査、消費者調査)を実施する企業も増えています。そんな中、当協会へのマーケティングリサーチ(市場調査、消費者調査)の依頼は最近増えてきています。

a93ed2881557cc7f2c1ae66b5ebec2ab_s

台湾は日本に距離的にも心理的にも近い国だとよく言われますが、マーケティングリサーチ(市場調査、消費者調査)を実施せずにいきなり台湾へ進出したり、台湾人観光客向けのプロジェクトを進めるのはリスクが高いと言えるのかもしれません。やはり、マーケティングリサーチ(市場調査、消費者調査)無くして正しく台湾を攻略するのは難しいのでしょうか?

その一方で、マーケティングリサーチ(市場調査、消費者調査)は役に立つとは思えない、経営判断をするのに役に立ったためしがない、と言い切る企業幹部の方にも何人かお会いしました。(本当ですよ。)実際のところ、マーケティングリサーチ(市場調査、消費者調査)は、経営判断をするのにどこまで役に立つのでしょうか?

マーケティングリサーチ(市場調査、消費者調査)を思い立ったら。

では、まずそれを一体どのように実施したら良いのでしょう。ちょっと教科書的な話で簡単に触りだけ説明します。

cd5ace0fe497b2d6fe77581912ba7008_s

Management decision problem (MDP)を設定する。

経営幹部はマーケティングリサーチ(市場調査、消費者調査)の結果から何かしらの決定をしなければなりません。そうでなければやる意味はないですからね。まずは経営陣が何を決定するのか、を特定するところから始まります。

例えば、
「A社は台湾で小中学生向け個別学習塾を開校するかどうかを決定するために何をするべきなのか。」などです。

Marketing research problem (MRP)を設定する。

上記のManagement decision problem (MDP)に答えるために、マーケティングリサーチ(市場調査、消費者調査)で何の情報を得る必要があるのか、を特定する必要があります。
たとえば、上記の個別学習塾のMDPに答えるために必要な情報は以下が考えられます。

点矢印画像個別学習塾に通っている小中学生やその家族のプロフィールを特定する。
点矢印画像通う個別学習塾を決定しているのは誰なのかを特定する。
点矢印画像決定者が個別学習塾を決定する要因(Key Decision Factor)は何かを特定する。
点矢印画像受け入れられる授業料はどのくらいなのかを特定する。

調査手法を選択する。

マーケティングリサーチ(市場調査、消費者調査)での調査手法は大きく2つに分けられます。それは定性調査(Qualitative research)定量調査(Quantitative research)です。

定性調査(Qualitative research)には、グループ・インタビュー、個別インタビューなどがあります。定量調査(Quantitative research)にはアンケートなどがあります。いずれの手法もサンプル数、質問内容、実施手法などを細かく設定して、確実に、MRPを達成する回答を得るようにデザインしなければなりません。

df656c7b32706f3f74418256c2fcc545_s

本当に市場にイノベーションを持ち込むときは、、

では、マーケティングリサーチ(市場調査、消費者調査)はすべてのプロジェクトにおいて実施するべきなのでしょうか?上述の通り、それは役に立たないと考える経営者の方もいらっしゃいます。

当協会の見解では、市場にイノベーションを持ち込むときは、マーケティングリサーチ(市場調査、消費者調査)は役に立たない、と考えています。

イノベーションとは、そもそも今まで市場に無かった商品やコンセプトであり、その商品やコンセプトを新しく持ち込んだ時点では、顧客がそれを必要であると感じていない、または気付いていないケースがほとんどです。例えば、1985年に出現したインターネットはものすごいイノベーションです。

今はインターネット無しでは生活ができないと言う人が大半でしょう。しかしインターネットが出現する前の1985年以前に「パソコンを使って世界中からあらゆる情報を入手し、世界中のあらゆる人とコミュニケーションし、映画等の動画を楽しめるツール」について、調査をしていたら、どうでしょうか。

一般の人はまず上述のインターネットの説明の意味が理解できないと思います。万一それを理解できたとしても、TV、ラジオ、郵便がある今の生活に満足している、と答え、インターネットがいくらなら欲しい、どこで購入したい等、具体的な要望を応えることはできないと思います。この場合は、顧客に商品を説明して内容を理解してもらいつつ、仮説を立てて確認しながら進める必要があります。

56269032e330b52ab5c7e7110bc82ff3_s

以下、当協会のコンサルタントが携わっていた某ローテク商品業界のアメリカ市場でのプロジェクトの例です。
この業界は、パソコンや電子機器のような、いわゆるハイテク商品ではなく、ローテク商品を取り扱っているためか、業界の変化も緩やかで、人と人との関係性や昔ながらの販売網を大切にしたアメリカながらどこか日本的な匂いのする業界でした。

この業界に、スマートフォンを利用して顧客に販促活動ツールを利用してもらうというイノベーションを試みました。昔から関係のある決まった顧客に決まった商品を毎年決まった数量を出荷するだけではなく、彼らにスマートフォンを利用して販促活動ツールを提供するというイノベーションです。

この場合、彼らにとって、事業にスマートフォンを持ち込むのは初めてだったため、以下の3つのステップを順序よく進めていく必要がありました。

点矢印画像商品の存在を知ってもらう。
点矢印画像商品の内容を理解してもらう。
点矢印画像商品が自社の売上に貢献することを理解してもらう。

まずは、顧客への個別プレゼンや業界雑誌に広告を掲載することで商品の存在を知ってもらいました。幸いにも小さな業界のため、顧客が読む主要雑誌は限られているため、数社の雑誌に広告を載せるだけで主な主要顧客にはその存在を知ってもらうことが可能でした。
次に、展示会でデモスペースを設け、イノベーションの専門家に実演してもらい、顧客に商品の内容を理解してもらいました。
最後に、実際に利用してもらうことで、自社の売上に貢献していることを実感してもらいました。

ポイントは、費用をかけずにエラーとトライアルを繰り返し顧客に新しい商品の内容を理解してもらうことを焦らずに行うことです。

まとめ

赤やじるしマーケティングリサーチ(市場調査、消費者調査)は、台湾などの新市場に進出する多くの企業の経営者が実施を検討する手法です。

赤やじるし既に日本で販売している商品を台湾という新市場に進出する際には有効なマーケティング手法と考えられます。

赤やじるししかしながら、消費者も知らないようなイノベーションを新市場に導入する場合は、マーケティングリサーチ(市場調査、消費者調査)は役に立たないと言えます。

赤やじるしその際は、1、商品の存在を知ってもらう。2、商品の内容を理解してもらう。
3、商品が自社の売上に貢献することを理解してもらう、というステップを踏む必要があります。

バックナンバー

Copyright(c) 2017 BATH All Rights Reserved.