台湾価格戦略論。菓子①1ヶ100元②5ヶ400元、売れるのはどちら?

2017-03-07

b09d1aadc5dfd69999ecc90e97e44ab1_s台湾進出で事業計画を立案するときに必要になってくるのが、台湾での価格設定です。
いつの時代でも、どの市場でも、如何に顧客に喜んで自社商品を買って頂くのかを試行錯誤しますよね。それが原材料等の高騰によって、自社商品の値上げの決断しなければいけない時はなお更です。

台湾行政院主計処によると、2012年の台湾の消費者物価指数(CPI)は対前年比でプラス1.93%(ちなみに日本は対前年比マイナス0.1%『出所:総務省統計局』)となっており、多くの台湾人も価格は少しずつ上昇しているのを実感しているようです。
価格戦略は、マーケティングの4P(製品、価格、販売促進、流通)のうちのひとつで、自社分析をする際に必須な戦略です。

多くの業界の多くの地域では、原価が上昇しており、値上げをせざるを得ない、という経験をしているのではないでしょうか。最近の話題ですと、多くの日本企業が国内流通コストの値上げで、商品価格の値上げを余儀なくされていますよね。同じような現象は台湾でも起こっています。今回は、台湾におけるこのような原材料高騰市場で、勝てる価格戦略を立案するためのヒントをご紹介します。

原材料高騰市場での価格戦略

『物価上昇により財布の紐が硬くなっている消費者は、「単価」よりも「合計金額」を選択する。』
これは、ハーバードビジネススクールのJohn Quelch教授が提唱している価格戦略に関する理論です。

私は、この戦略は台湾の小売店業界での価格戦略に非常に狙い目であると考えています。なぜなら、この理論を活用していない台湾の小売店が非常に多いためです。

以下に例をとってご説明します。

物価上昇により財布の紐が硬くなっている顧客は、購入商品の合計金額を抑えようとします。
例えば、ある企業の法務担当者が、弁護士に案件を個別相談するとします。物価上昇により財布の紐が硬くなっている企業の法務担当者は、以下のどちらのサービスを選択するでしょうか。

赤やじるし1.60分 20,000円
赤やじるし2.15分 10,000円

上記の例の場合、1のサービスの単価は333円/分、2のサービスの単価は666円/分なので、分単価にすると60分 20,000円の方が半額になるという計算です。しかし、John Quelch教授の理論によれば、財布の紐が硬くなっている消費者は2.15分 10,000円
のサービスを選択することで、短い時間ながらもサービスを受け、出費を抑える傾向にあると結論づけられます。

この理論は、一般商品にも当てはまります。
お菓子メーカーは、1袋あたりの価格を上げるではなく、1袋あたりの入数を減らして価格を据え置くことが考えられます。

台湾の小売店では、一つ一つの単価を下げて消費者の注意を引くのですが、それを単品販売せずパック売りをします。つまり、定価100元(約300円)のお菓子があったら、それを80元にして5つで400元という販売の仕方をします。1ヶで買うと定価100元のまま、1ヶ80元で買うことはできないのです。上述の理論『物価上昇により財布の紐が硬くなっている消費者は、「単価」よりも「合計金額」を選択する。』に従うなら、一般の消費者は、5つで400元出すなら必要数量である1ヶ100元を購入するということになります。

ですので、この記事のタイトル、「お菓子①1ヶ100元②5ヶ400元、どちらが売れると思いますか。」という質問に答えるなら「①1ヶ100元」ということになります。

しかしながら、もちろん例外もあります。それは大家族の場合です。台湾人は父、母、子供、そして祖父、祖母、さらには親戚とも一緒に生活している大家族が多くあります。そのような家庭では、上記の例でいうなら、②5ヶ400元を選択するかもしれません。
また、特に学生の場合は、このお菓子がほしい友達5人を募集して5人で②5ヶ400元で購入するという人たちもいます。

また、台湾のお店でこのような表示を見たことはありませんか。

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点矢印画像買二送一
点矢印画像買三送一

これは、「1ヶ購入したら1ヶサービス」(買一送一)
これは、「2ヶ購入したら1ヶサービス」(買二送一)
これは、「3ヶ購入したら1ヶサービス」(買三送一)

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台湾の小売店は、「合計金額」よりも「単価」が安くなることを強調し、消費者にまとめ買いをさせる価格戦略を多くとっています。
これも、John Quelch教授の理論とは反対のことをしている、ということになります。

しかし、この傾向はいつまで続くでしょうか。冒頭でも説明したように、台湾の消費者物価指数も毎年上昇しています。ハーバードビジネススクールのJohn Quelch教授が提唱している、『物価上昇により財布の紐が硬くなっている消費者は、「単価」よりも「合計金額」を選択する。』のであれば、台湾でもいつかJohn Quelch教授の理論に基づいた価格設定が一般化するかもしれません。

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まとめ

点矢印画像物価上昇により財布の紐が硬くなっている消費者は、「単価」ではなく、自分が支払うべき「合計金額」を気にかける。
点矢印画像台湾の小売業ではこの理論はまだ浸透していない。ライバル会社と差別化するサービスを提供するには考えられるべき価格戦略のひとつである。

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