台湾マーケティング戦略。顧客の購買心理を理解できるか。
台湾で自社の商品を販路拡大する場合は、台湾市場におけるマーケティング戦略に多くの時間と労力を費やすことになります。まず台湾市場で売れる仕組みを構築していく必要があるためです。そこで重要になってくるのが、顧客の購買心理を理解することです。
今回は台湾マーケティング戦略における顧客の心理について検証していきましょう。
顧客は理不尽である。
そうです。顧客はとても理不尽なのです。
論理的に考えることをしないのです。
たとえ論理的な人間であったとしても、消費者として行動する際は、非論理的な行動をとってしまうものなのです。
特にこれはB to Cでよく起こることです。
これは一体どういうことでしょうか。
スモールビジネス向けの経営コンサルティング会社を経営するマイケル・E・ガーバー氏は、以下の3つの統計を例に挙げ、顧客は無意識のうちに商品の意思決定を行っているとしています。
TVのCMでは、最初の3秒から4秒で商品が売れるか売れないかが決まる。
印刷物の広告では、購買の意思決定の75%が見出しだけで行われる。
実演販売では最初の3分で売れるか売れないかが決まる。
CMを3秒見ただけで商品の良さが分かるわけもありません。
広告の見出しを見ただけで、商品の良さが分かるわけもありません。
実演販売を3分見ただけで、商品の良さが分かるわけもありません。
これは実に理不尽で、非論理的な思考に基づいて判断してると言えないでしょうか。
営業マンが顧客に対して営業活動を行う時にも言えることがあります。
A社の営業マンは、
紺色のシワひとつ無いスーツ、糊のきいた白いシャツを着て、
しっかりとプレスされたズボンを履き、
よく磨かれた黒い靴を履き、
しっかりと整った髪型をして、
とても礼儀正しくあなたに話をします。
一方B社の営業マンは、
真っ赤なスーツ、シワだらけのシャツを着て、
よれよれのズボンを履き、
汚れたスニーカーを履き、
茶髪のロン毛の髪型をして
ため口であなたに話をします。
A社とB社、あなたはどちらの営業マンの商品を買いたいと思いますか。
きっと多くの人は、A社の営業マンの商品を買いたくなることでしょう。
私もそうです。
そして、もちろんこれは営業マンの上辺だけを見て判断していると言えます。商品すら見ていないのです。A社の営業マンが薦める商品の方が信頼できそう、商品の質が良さそう、と商品も見ないで判断してしまうのです。
これは人間的心理では仕方ないことかもしれません。しかし、逆を返せば、特にB to Cの場合に言えることですが、それさえやれば、商品は売れる可能性が高くなると言えます。
CMのキャッチコピー、広告の見出しにほぼ100%の労力を費やし、営業マンは服装と髪型をしっかりと整え、礼儀正しく話す。
服装、髪型、話し方は、社会人の常識といえますので、それほど差別化にはなりませんが、キャッチコピーや広告の見出しに工夫をすれば、ライバルに差別化で対抗することができます。
選択肢が多いと顧客は選択しない。
顧客にあまり多くの選択肢を与えてしまうと、顧客は選択しなくなります。
例えば、まず選択肢が少ない例として、
コーラ飲料に、コカコーラ派とペプシ派がいて、
スマートフォンの機種に、サムソン派とアップル派がいて、
台湾の航空会社は、中華航空派とエバー航空派がいるように。
各社は、経営理念やロゴ、 CM、広告、そして商品そのものの品質などで台湾人のファンの心を掴むことに成功しています。
一方で、選択肢が多くすぎる例として、誤解を恐れずに言えば、
甲子園の高校野球応援などがひとつの例と言えるかもしれません。
49都道府県から代表校が参加して、多くの人たちは単純に地元の高校を応援するのでは無いでしょうか。高校の教育方針が好きだから、とかある選手が素晴らしいから、といって応援する高校を選ぶことがほとんど無いでしょう。つまり選択をしていないのです。
しかし、「選択肢が多いと顧客は選択しない。」の例外もあります。
それは芸能人やミュージシャンなどの場合に言えることです。台湾にも何百人何千人もの芸能人やミュージシャンがいます。でも彼ら一人一人に応援してくれるファンがついています。ただ単に同郷だからという理由で選ぶ場合もあるかもしれませんが、多くの場合はその人柄や歌っている曲などに共感しファンになっていくのです。
このような場合は個人がブランドとしてのマーケティングに成功しているといえます。
台湾進出を考えるときに、自分たちが進出する台湾の業界では、どのくらいのプレイヤーがいるのかどうかを把握しておくことが大切です。
顧客にどれほど選択肢があるかを理解しておくのです。
あなたの会社の業界は、数社の企業が独占しているような業界でしょうか。
その場合は、価格帯やデザインコンセプトを少しライバルと変えてみることで、それに共感してくれるファンの心を掴むことが可能かもしれません。
同じような規模の会社が多い群雄割拠の業界でしょうか。
例えば、大衆向け日本食レストランなどがその例と言えるでしょう。日本食は台湾で大ブームであり、もはや日本食レストランは珍しいものではありません。顧客は選択をせず、家から近い立地条件が良い日本食レストランに行ってしまう可能性が充分にあります。そこでの対策として考えられるのは、芸能人やミュージシャンの例と同じように、個人のブランド、つまり料理長がブランドとなってマーケティングする方法などが考えられます。
まとめ
顧客の行動心理を読むことは、日本であっても台湾であっても同じことです。台湾に進出するにあたってまず「顧客は理不尽である。」ということと、「顧客は選択肢が多くなると選択しない。」と言う事を頭に入れておきましょう。