マーケティングリサーチは必要か? イノベーション商品で進出する場合

2017-02-02

マーケティングリサーチ(市場調査)は、過去から現在にかけての顧客データを集めて分析し、将来の需要を推測する手法で、欧米の大学のマーケティングクラスでは、「答えが分からなければお客様に聞け。」と教えられるほど、重要な手法です。

しかしながら、市場にイノベーションを持ち込むときは、マーケティングリサーチは役に立たない、というのが我々の考えです。

イノベーションとは、そもそも今まで市場に無かった商品やコンセプトであり、その商品やコンセプトを新しく持ち込んだ時点では、顧客がそれを必要であると感じていない、または気付いていないケースがほとんどです。例えば、1985年に出現したインターネットはものすごいイノベーションです。

今はインターネット無しでは生活ができないと言う人が大半でしょう。しかしインターネットが出現する前の1985年以前に「パソコンを使って世界中からあらゆる情報を入手し、世界中のあらゆる人とコミュニケーションし、映画等の動画を楽しめるツール」について、マーケティングリサーチをしていたら、どうでしょうか。

一般の人はまず上述のインターネットの説明の意味が理解できないと思います。

万一それを理解できたとしても、TV、ラジオ、郵便がある今の生活に満足している、と答え、インターネットがいくらなら欲しい、どこで購入したい等、具体的な要望を応えることはできないと思います。

この場合は、顧客に商品を説明して内容を理解してもらいつつ、仮説を立てて確認しながら進める必要があります。

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以下、私の携わっている某ローテク商品業界のアメリカ市場でのプロジェクトの例です。

この業界は、パソコンや電子機器のような、いわゆるハイテク商品ではなく、ローテク商品を取り扱っているためか、業界の変化も緩やかで、人と人との関係性や昔ながらの販売網を大切にしたアメリカながらどこか日本的な匂いのする業界でもあります。

この業界に、スマートフォンを利用して顧客に販促活動ツールを利用してもらうというイノベーションを試みました。昔から関係のある決まった顧客に決まった商品を毎年決まった数量を出荷するだけではなく、彼らにスマートフォンを利用して販促活動ツールを提供するというイノベーションです。

この場合、彼らにとって、事業にスマートフォンを持ち込むのは初めてだったため、以下の3つのステップを順序よく進めていく必要があります。

1.商品の存在を知ってもらう。
2.商品の内容を理解してもらう。
3.商品が自社の売上に貢献することを理解してもらう。

まずは、顧客への個別プレゼンや業界雑誌に広告を掲載することで商品の存在を知ってもらいました。幸いにも小さな業界のため、顧客が読む主要雑誌は限られているため、数社の雑誌に広告を載せるだけで主な主要顧客にはその存在を知ってもらうことが可能でした。

次に、展示会でデモスペースを設け、イノベーションの専門家に実演してもらい、顧客に商品の内容を理解してもらいました。
最後に、実際に利用してもらうことで、自社の売上に貢献していることを実感してもらいました。

ポイントは、費用をかけずにエラーとトライアルを繰り返し顧客に新しい商品の内容を理解してもらうことを焦らずに行うことです。

まとめ

イノベーションを持ち込んだ時点では、顧客はそれを必要と感じていない。
企業は、顧客にそのイノベーションが必要(またはあった方が便利)であることを理解してもらう必要がある。
2度、3度の失敗は想定したうえで、資源を残しておく。

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