マーケティングリサーチは必要か?イノベーション商品で台湾進出。

2015-12-11

マーケティングリサーチは、過去から現在にかけての顧客データを集めて分析し、将来の需要を推測する手法です。大学のマーケティングのクラスでは、「答えが分からなければお客様に聞け。」と教えられるほど、重要な手法です。台湾に進出する際でももちろん、このようなマーケティングリサーチは有効に働くでしょう。
しかしながら、「台湾市場にイノベーションを持ち込むときは、マーケティングリサーチは役に立たない。」という考え方があるのです。

イノベーションとは、今まで市場に無かった商品やコンセプトで、その商品やコンセプトを新しく持ち込んだ時点では、顧客がそれを必要であると感じていない、または気付いていないケースがほとんどです。まったく新しい商品で台湾に進出するといった場合も同じようなことが起こるはずです。

例えば、1985年に出現したインターネットはものすごいイノベーションですよね。今はインターネット無しでは生活ができないと言う人が大半でしょう。しかしインターネットが出現する前の1985年以前の台湾の人たちに、「パソコンを使って世界中からあらゆる情報を入手し、世界中のあらゆる人とコミュニケーションし、映画等の動画を楽しめるツール」について、マーケティングリサーチをしていたら、どうでしょうか。

一般の台湾人であれば、まず上述のインターネットの説明の意味が理解できないと思います。万一それを理解できたとしても、TV、ラジオ、郵便がある今の生活に満足している、と答え、インターネットがいくらなら欲しい、どこで購入したい等、具体的な要望を応えることはできないと思います。

あなたは1985年頃、今のスマートフォンのようなものが欲しくて欲しくてたまらなかったでしょうか?
きっと自分がスマートフォンがほしい、ということ自体に気づいていなかったのではないでしょうか?

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イノベーティブの商品を市場の投入したときの例

以下は、当協会のコンサルタントが以前携わっていた某ローテク商品業界でのプロジェクトの例です。この業界は、パソコンや電子機器のような、いわゆるハイテク商品ではなく、ローテク商品を取り扱っているためか、業界の変化も緩やかで、人と人との関係性や昔ながらの販売網を大切にしたどこか日本的な雰囲気のある業界です。

当協会のクライアントはこの業界でトップクラスの商品Aを開発し、全国各地に広がる代理店に商品Aを売ってもらおうと試みていました。しかし、今の時代、営業マンがいくら足で頑張ってもそう簡単に売れるものではありません。
そこで我々は専門業者と提携し、スマートフォンを利用した販促アプリ「BASS(仮名)」を開発しました。
このBASSをクライアントの代理店に無償提供し、顧客との商談に利用してもらおうというのです。この販促アプリBASSは、商品Aの商品特徴、使用方法、メンテナンス方法などが瞬時に閲覧できる機能を持っており、代理店が顧客に営業をするうえで大きなサポートになるはずだと考えたのです。

この場合、代理店にとって、販促にスマートフォンを使った販促アプリを使うのは初めてだったため、以下の3つのステップを順序よく進めて、まずは代理店にBASSをよく理解してもらう必要がありました。

1.BASSの存在を知ってもらう。
2.BASSの機能を理解してもらう。
3.BASSが代理店の売上に貢献することを理解してもらう。

我々はまず、業界雑誌に広告を掲載することで、クライアントの代理店にBASSの存在知ってもらいました。
次に、展示会でデモスペースを設け、BASSの専門家に実演してもらい、代理店にBASSの内容を理解してもらいました。
最後に、代理店実際に利用してもらうことで、自社の売上に貢献していることを実感してもらいました。

イノベーティブで新しい商品を投入する際は、常にこのようなステップを踏む必要があります。①顧客に商品の存在を知ってもらう。②顧客に商品の機能を理解してもらう。③顧客にそれが問題を解決する機能を持っていることを理解してもらう。
つまり、顧客が自分でも必要だと気づかない商品を、必要であると気づいてもらうことなんです。そうすることで、新商品を徐々に市場へ浸透していくのです。

この場合、マーケティングリサーチは役に立たない場合があることを理解して頂けるかと思います。顧客自身も商品について知らないのですから、良いも悪いも答えようがないはずです。そのから顧客は本当に必要としているものは何であるか、という答えを導き出すのは至難の業です。それよりも、プロジェクトメンバー全員でイノベーティブな志向を身に付け、顧客も気づいていないニーズを探し出すことに全力を注いだ方が良いかもしれません。

逆に、日本でヒットした商品を満を持して台湾へ持ってくるという場合は、マーケティングリサーチは有効でしょう。台湾人自身もその商品を必要としているかどうか分かっているからです。そのような別の市場で既に販売実績がある商品を台湾に投入する場合、マーケティングリサーチでの市場分析ははやり有効です。

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