ホンハイ(鴻海)の郭台銘(テリー・ゴウ)名言から見る人材戦略

2017-01-17

ホンハイ(鴻海)の郭台銘(テリー・ゴウ)会長。
シャープを買った台湾のカリスマ経営者として注目されている人物で、たった1代30年余りで年間売上高約14兆円の超巨大企業、ホンハイ・グループ(鴻海科技集団)を作り上げたカリスマ経営者です。

以前は、郭台銘(テリー・ゴウ)会長の名言から彼の人物像、そして彼の経営戦略の観点から見てみました。今回は、人材戦略に焦点を当てて、「人を育てる」ためにどのような考えを持ち何を実行してきたのかを見てみましょう。

「ホンハイは企業経営をしているだけではない。学校をも運用している。」

(郭台銘=テリー・ゴウの熱中経営塾 P31)
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郭台銘は、ホンハイの従業員に対して学習する習慣をつけさせることを重要視する人材戦略をとっています。
エンジニア以上の従業員には年間で288時間以上、作業員には年間で50時間以上の学習時間を推奨しています。この学習態度は奨励金にも連動いるそうです。
中国の上級幹部は自身の会社のことを「富士康大学」と称し、ホンハイの従業員であれば自己啓発、自己スキル向上のために学習することを求められている、ということを強調しています。

郭台銘は、これらの人材戦略を通して、ホンハイの従業員が「人材」から「人才」「人財」になることを期待しています。
人「材」は「才」の横に「木」があり、つまりまだ彫刻されていないピュアな状態。教育や経験を積んでいくことによって人「才」へと変化し、スキルと経験を活かして市場で戦える集団として活躍できるようになります。それらの人才は企業にとって重要な財産であり、つまり人「財」です。
郭台銘は、このような人材戦略でホンハイの従業員に学習させ、企業として最高のパフォーマンスをアウトプットすることに成功しています。

「ハトは全羽死に絶えた。」

(郭台銘=テリー・ゴウの熱中経営塾 P116)
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「人は困難の中から潜在能力を引き出し、試練からチームを作り出すことができる。」
それが郭台銘の人材戦略の根幹でもあります。

彼はアメリカ滞在中には夏によく家族でイエローストーン国立公園へ出掛けて行ったそうです。娘さんがそこでハトに餌を与えるのが大好きだったのですが、ある年の夏から公園に「ハトへの餌やり禁止」の看板を目にしました。

「なぜ餌を与えてはいけないのか。」と管理人にきいたところ、前年の冬に大雪が降った後、ハトが全羽死に絶えた、とのこと。
つまり、人間がハトに餌を与え続けると、ハトはそれに慣れてしまい、自分で餌を探しに行かなくなるのです。

人間も同じです。
誰かが意味も無く支援をしたり代わりにやってあげたりしていると、やってもらった方の人間は怠惰になっていくだけなんです。

ホンハイの従業員は困難や試練の中であっても、自らの力で這い上がってくる能力を身につけています。これも、郭台銘会長の「ハトは全羽死に絶えた」エピソードから学んでいる教えです。

「グローバル化とは人才の現地化」

(郭台銘=テリー・ゴウの熱中経営塾 P75)
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ホンハイは、中国、インド、ヨーロッパ、メキシコ、ブラジルなど世界14カ国に工場をもっています。
ホンハイのメキシコ工場は従業員3,000人のうち台湾からの幹部社員はわずか3人です。中国工場は中国人45万人のうち、台湾からの幹部社員は2,500人、比率でいうと1800:1です。これもホンハイの人材戦略の特徴です。

郭台銘はできる限り現地の仕事は現地の人才に任せ、台湾からの派遣する幹部の数を抑えようとします。
曰く、「台湾から人を送ればそれだけコストが高くなる。コミュニケーションの意味でも最善の策とは思えない。」

現地の人才に責任を持たせることで現地社員の能力向上にも繋がっています。

「人才を引き留めるには人才を惹き付ける必要がある。」

(郭台銘=テリー・ゴウの熱中経営塾 P233)
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ホンハイの人材戦略には、「138計画」なるものがあります。
「138計画」とは、ホンハイの核心幹部に対して採用している制度で、1年間の労働共同審査を通じて優れていると判断された幹部とは、引き続き3年間の契約を結び、奨励金、補助金、住宅などの福利厚生を与えます。そして8年間継続して勤めた場合は、無償で住宅、またはそれ相当の現金を与えます。

この制度のポイントは、従業員に対しての賞罰がはっきりしているということです。優秀な従業員は手厚い報酬が与えられ、より働きやすい環境を提供する、そうでない従業員は淘汰されていく、そんな制度によって優秀な人才がホンハイに引き留められ、企業として大きなパフォーマンスをあげることに成功しているのです。

「履歴書を送付すれば誰にも働くチャンスがある。」

(郭台銘=テリー・ゴウの熱中経営塾 P81)
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郭台銘は有名大学出身者だけに絞った採用は決して行いません。

会社がこれまで成長したのは、優秀な社員がゴロゴロいたからというわけではなく適材適所の結果であるといいます。そのため、ホンハイで働きたい人は履歴書を送れば誰にもチャンスはあるのです。

「『一に貢献、二に責任、三に能力』の順序で昇進を決めている。」

(郭台銘=テリー・ゴウの熱中経営塾 P84)
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ホンハイでは個々の能力よりも会社やチームへの貢献度を持つことが昇進では優先されます。
たとえ能力が優れていたとしてもそれが一人の単独プレーになっては組織として高いパフォーマンスを上げることができません。

そして、責任感を持つこともホンハイでは昇進に必須の要素です。
郭台銘は若いうちから責任のある仕事を持つことを従業員に期待しています。

責任をもって自立的に行動し、組織に利益をもたらす仕事をする人才がホンハイでは出世していくのです。
学歴や個人プレーに優れている人才ではありません。

まとめ

■「ホンハイ(鴻海)は企業経営をしているだけではない。学校をも運用している。」
「人材」から「人才」「人財」へ育てることで会社のパフォーマンスを上げていく。

■「ハトは全羽死に絶えた。」
困難の中から潜在能力を引き出し、試練からチームを作り出すことができる

■「グローバル化とは人才の現地化」
現地の人才に責任を持たせることで現地社員の能力を高め、会社としてもパフォーマンスがあがる。

■「人才を引き留めるには人才を惹き付ける必要がある。」
優秀な人才を惹き付ける報酬制度を採用する。

■「履歴書を送付すれば誰にも働くチャンスがある。」
会社の今までの成長は、適材適所の結果である

■「『一に貢献、二に責任、三に能力』の順序で昇進を決めている。」
ホンハイに必要なのは、学歴や個人プレーに優れている人才ではありません。

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