ベトナムで台湾企業と組んでアジア進出するという考え方。

2015-11-13

台湾企業と組んで進出するアジア進出といえば、真っ先に思い浮かぶのが中国大陸でしょう。台湾企業と組んで、巨大な中国大陸のマーケットを取りに行くと言う図式は、台湾に進出しようとしている、もしくは既に進出している日本企業にとっては常に頭の中に入れているアジア進出戦略のひとつです。
しかしながら、最近の中国での賃金向上、中国国内での競争の激化、成長の鈍化等により台湾企業と組んでの中国大陸進出は、以前ほど魅力的ではなくなったと言う意見も出ています。そんな中で、台湾企業と組んでアジア進出する先として、次に注目されているのがベトナムなのです。

ジェトロ(日本貿易振興機構)が発行するジェトロセンター2015年2月号では、「ベトナムで台湾と組む。日台連携の可能性」という特集記事を紹介しています。今後、台湾企業と組んで第三国へ進出したいと考えている企業は、ベトナムもひとつの選択として考えられます。

多くの台湾企業が製造業でベトナムに進出。

ジェトロセンター2015年2月号によれば、駐ベトナム台北経済文化代表処の発表で、現在ベトナムに進出している台湾企業数は約5,000社。業種では、主に紡績、製靴、家具製造、食品加工、金属加工、機械などであり、製造業が全体の85%を占めているとのことです。また、ジェトロによれば、1986年にベトナムが打ち出したドイモイ(刷新)政策と1993年に台湾が打ち出した南下政策の推進による相乗効果により、ここまで台湾企業の進出が活発化したと考えられています。

ベトナムの統計で1988年から2010年までの間、台湾は対ベトナム投資で常にトップでした。近年では、シンガポール、韓国、日本に追い抜かれてはいるものの、2013年には台湾の対ベトナム直接投資が18億ドルを超え、これは史上最高を記録しました。(ジェロセンター2015年2月号 p18)

台湾は、ベトナムでの投資に関して言えば、どこの国よりも早くから進出し、どこの国よりも台湾の市場を知り尽くしている外国企業であると言えるでしょう。

日本起業が台湾企業と組んでベトナムに進出する5つのメリット。

日本企業が台湾企業と組んでベトナムに進出する場合、以下の2つのケースが考えられます。

ゆび矢印提携したい台湾企業がすでにベトナムに進出しているケース。
ゆび矢印既にベトナム支店を持っている日本企業がベトナム現地で台湾企業と組むケース。

これらのケースの場合、日本企業が台湾と組むメリットは以下の4つが考えられます。

ゆび矢印1.台湾企業は、ベトナム進出のコンサルタント的な役割を果たす。

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上述の通り、台湾はどこの国よりも早くベトナムに進出しており、ベトナム進出歴20年以上の企業も多く存在します。彼らの長いビジネスの経験と実績により、提携する台湾企業には、ベトナム進出のコンサルタント的な役割を果たしてもらうことができます。

浜松市に本社を置く二輪車・四輪バギー・発電機などの排気システム専門メーカーであるサクラ工業は、台湾の宏明工業とともに2014年に、ハノイ市郊外の工業団地に、合弁会社、ブロードブライト・サクラ・インダストリー・ベトナムを設立しました。

合弁会社設立にあたって、サクラ工業は、既にベトナムに進出していた宏明工業にベトナムの情報収集などのサポートを受けながら、台湾進出のハードルを下げることに成功しています。(ジェロセンター2015年2月号 p14)

このように、日本企業がベトナムで台湾企業と組むと、ベトナム現地の情報収集や、市場調査、取引先の開拓など、日本企業が単独でベトナムに進出しては時間的にもコスト的でも高くついてしまうであろうコンサルタント的な業務を、台湾企業が果たしてくれるというメリットを得ることができます。

ゆび矢印2.台湾企業にベトナムの生産委託先として協力してもらうことができる。

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在ベトナムの台湾企業を生産委託先として指名することができます。ベトナム国内に顧客を持つ日本企業が、在ベトナムの台湾企業を設備譲渡や生産委託をして、その台湾企業からベトナムの顧客に納品させるという三角貿易が考えられます。越南裕驛企業総経理の陳明賢氏は、ジェトロにインタビューで、この三角貿易で多くのOEM受注が増加していると話しています。(ジェロセンター2015年2月号 p9)

ゆび矢印3.台湾企業をベトナムの調達先として協力してもらうことができる。

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日系企業がベトナムで資材調達をする場合、品質面の問題が浮上することが多いです。ベトナムの企業の場合、製品単価は安いですが、品質が安定しません。一方で、日本企業から調達すると、品質に問題はなくても今度はコスト面で高くついてしまいます。その中間価格面、品質面ともにちょうどその中間に位置するのが台湾企業になります。台湾企業の生産技術は昔から日本企業から多くを学んでいたこともあり、アジアの企業に比べ高い品質の資材を提供することを得意としています。

ゆび矢印4.労務管理を円滑に進めることができる。

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ベトナムに進出している台湾企業、日本企業ともに深刻な悩みは、ベトナムで頻繁に起こるストライキの問題です。ベトナム人労働者の扱いはベトナムに慣れていない日本企業にとってとても厄介なものです。洋華光電の白志強氏は、ジェトロのインタビューで、過去に社員食食堂で提供された食事がまずいことが原因でストライクが起きたこともあったと話しています。(ジェロセンター2015年2月号 p8)

このように厄介なベトナム人従業員をうまくコントロールできるのはベトナムにいる現地のマネージャーであり、台湾から来た労務管理者であります。彼らと中国語でスムーズなコミュニケーションをとることで、これらの労務問題を最小限に抑えることができるのです。

台湾企業も日本企業と組みたがっている。

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既にベトナムに進出している製造業を中心とした台湾企業の多くは、ベトナムで日本企業と提携することで、商品のさらなる品質向上を目指したいと考えています。ハーバードビジネススクールのクレイトン・クリステンセン教授が提唱したひとつの理論があります。

点矢印画像■顧客がまず満たされたいと思う要求は「性能」、
点矢印画像■性能が満たされると、次に満たされたいと思うのは「信頼性」、
点矢印画像■信頼性も満たされると、次に満たされたいと思うのは「利便性」、
点矢印画像■利便性も満たされると、次に満たされたいと思うのは「価格」、
点矢印画像■価格も満たされると最後は、商品はコモディティー化していく。

ベトナムで製造されている商品はまだ初期の段階で今は性能や信頼性の向上を重点に置いた経営をしていると言えるでしょう。そこで多くの台湾企業は日本の技術力の高さを認め、性能や信頼性向上のためのサポートを日本企業から受けたいと考えているのです。

まとめ

日本企業と台湾企業が提携してベトナムに進出する余地はまだまだあると言えるでしょう。10年、20年以上にわたりベトナム人に関わってきたベトナム市場を知り尽くした台湾企業と、高い技術力を誇る日本企業が提携することで、お互いがウィン・ウィンの関係を築くことができるのです。

ジェトロによれば、ベトナムに進出している日本企業はまだまだ少ないとのことです。台湾に進出、そして台湾企業と組むことによって、中国大陸だけではなくベトナムも視野に入れた海外進出という図式が期待できるのです。

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